
ストライモンは2004年に設立されたギター用エフェクターのリーディングブランドです。 本拠地はカリフォルニア州ウェストレイクビレッジ。 プロ・アマ問わず世界中のミュージシャンから愛用されており、卓越した音質と革新的な設計で知られています。ストライモンのミッションは、最高の音楽機材を提供することで創造性を刺激すること。 そのために、製品だけでなくビジネスオペレーションにも「品質」と「洗練」を求めています。
ストライモンのチームは常に音楽テクノロジーの限界に挑戦しており、そのため、業界のニッチな分野で自社のミッションを支えつつ、大規模で高額なカスタム開発を必要としない業務管理ソリューション/ERPシステムが求められていました。彼らにとって重要だったのは、複雑になりすぎず、リソースを圧迫しない形で、自社に合った仕組みを構築することです。そして、Odooはそのニーズにぴったりのソリューションでした。

Odoo導入前の課題
ストライモンは品質へのこだわりによって急速な成長を遂げましたが、その成功と引き換えに、大規模な業務体制における効率性の確保という大きな課題も抱えることになりました。当時の業務システムは主にスプレッドシートに依存しており、成長に伴う業務の複雑化に対応しきれない状態に陥っていました。在庫管理、生産計画、財務管理はいずれもますます複雑で時間のかかる業務になっていたのです。ストライモンには、成長を支えながらも、品質へのこだわりを損なわない、堅牢かつ柔軟なソリューションが必要でした。
「私たちは、万が一ベンダー企業が事業を終了してもサポートが受けられなくなるような状況を避けたかったため、オープンソースのプロジェクトを選びたいと考えていました。同時に、プロフェッショナルなサポートも受けられる体制が欲しかったのです」
ストライモンは複数の 技術ベンダーを比較検討した結果、スケールに合わせて柔軟にカスタマイズ・適応できるオープンソースのERPプラットフォームが必要だと判断し、最終的にOdooを選択しました。彼らのチームは、この規模のERP/MRPシステムを導入することの難しさを理解しており、その構築にあたってはOdooゴールドパートナーである オープン・ソース・インテグレーターズ(OSI)にサポートと専門知識を求めました。
Odoo導入オペレーションの指揮をとる

オープン・ソース・インテグレーターズ(OSI)は、ストライモンのニーズに合わせたカスタマイズ型のアプローチを採用しました。最初のステップは、ストライモンの既存プロセスと課題の 徹底的な見直し でした。OSIはストライモンと密に連携しながら、確実な Odoo導入計画 を立てるための明確な目標を決めていきました。
まず何よりも、OSIが重視したのは「ストライモンのチームにシステムへの信頼感を築くこと」でした。 チームがOdooを安心して使いこなせるようになることを最優先に、早期の習熟を目指しました。新しいソフトウェアへの移行は不安を伴うものですが、Odooの直感的な操作性により、ストライモンは導入後すぐにスムーズに運用を開始することができました。 その円滑な移行を支えた要因の一つが、OSIによる意図的かつ段階的なモジュール導入でした。
OSIはまず会計モジュールを導入し、その後に製造管理と在庫管理を順に展開しました。これは、ストライモンが今後の運用を進めるうえでのしっかりとした基盤を築き、財務報告の正確性を確保するためです。また、OSIはクラウドベースでセルフホスティング型のOdoo環境を構築し、セキュリティと信頼性のバランスがとれたシステム運用を可能にしました。さらに、導入後にはストライモンのチームが自社でOdooをしっかり使いこなせる状態になることを重視し、自走できる体制づくりを支援。 このことが、Odoo導入の長期的な価値を高める大きな要因となったのです。
「Odooシステムは99%以上の稼働率を維持しており、これはストライモンの業務にとって極めて重要な要件でした」
ストライモンの旧システムからOdooへの財務データおよび業務データの移行は、大きな課題のひとつでした。経理責任者のジェイク・ローランスさんは、会計データの整合性を保ちながら確実に移行を進めるために、OSIと緊密に連携しながら作業を進めました。
ストライモンは複数の拠点を持ち、製造プロセスも複雑であることから、Odooの在庫管理モジュールと製造モジュールの導入には、綿密な計画とカスタマイズが必要でした。 OSIは、Odooが持つ標準機能を最大限に活用するとともに、必要に応じてカスタムモジュールの開発も行いました。その一例が、ストライモンの高価格帯かつ精密な製品特性に対応するために開発された専用の「返品管理モジュール」です。 このモジュールは、製品の品質保証やアフターサポートにおいて重要な役割を果たしています。
組織全体にハーモニーを生んだ的確な導入ステップ

Odooの導入が完了したことで、ストライモンの業務は大きく変革しました。 特に、生産管理や在庫管理のプロセスが効率化され、これまで無駄になっていた時間やリソースの削減につながっています。また、Odooの 会計 モジュールと正確かつリアルタイムな財務レポート機能により、ストライモンの経営陣はより的確な意思決定と財務管理を行えるようになりました。さらに、Odooの eコマース 機能と返品管理システムは、顧客体験の向上にも貢献しています。 とりわけ、海外の販売代理店に対して、よりスムーズで信頼性の高い対応が可能になりました。
「業務効率が大幅に向上し、私たち自身の運用能力にも自信が持てるようになりました。特にストライモンにとって重要な業務領域で、プロセス改善が着実に進んでいます」
ストライモンは、会計、営業、在庫管理、製造、PLM(製品ライフサイクル管理)、購買、出荷、保証管理といったあらゆる部門で、大幅な業務効率の向上を実現しました。その結果、ストライモンのチームは、これまで手作業や煩雑な業務に費やしていた時間を大幅に削減。 柔軟なテクノロジーソリューションによって自動化・最適化されたことで、本来注力すべき業務に集中できる環境が整いました。
今やストライモンは、今後の成長とイノベーションを支える柔軟で拡張性の高いシステムを手に入れたのです。Odooの多機能がシームレスに連携したプラットフォームによって、ストライモンは音楽エフェクト業界におけるリーディングカンパニーとして、さらに業務の最適化と革新を進めていくことでしょう。